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はてなの決心高度

飛行機は初代塗装の日航DC-8が好きです。ちなみに飛行機の話題はゼロです。

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コモディティ化する大衆監視装置

ずいぶん前に「エシュロン」というものが問題になった。アメリカ政府が世界中の通信を傍受していて情報を抜き取られたり、国防以外の経済スパイや国民監視にも利用されているのではないか、そういった危惧を持つ人たちが問題にしていた。

今、我々の知らないところで傍受システムは発展している。しかも、国家レベルではなくて私企業レベルで浸透している。

ネットと容易に接続できるiOSandroidでは、いまや音声入力や音声検索をサポートしている。Youtubeでは動画中の音声を自動的に字幕化するシステムが稼働している。音声言語と文字言語を相互に紐付けする仕組みが一般市民の生活レベルに浸透しているということだ。さらに、マイクロソフトのHPは英語のドキュメントを自動翻訳して各国の言語で表示する機能で運営されている。一見すると自動翻訳とは分からない。要するに、いったん音声を文字化できたら、それを傍受側が解釈しやすい英語のような一定の言語にきれいに置き換えるまでの仕組みが日常生活ですでに使われているのである。文字化した会話の中から不穏なキーワードを検索して、監視対象に加えることも検索エンジンの精度からすれば容易である。

ここまで民間企業の無料提供のサービスでできていることだ。もっと資金を投じれば精度は上がる。すでに諜報機関がその種の仕組みを活用しているかもしれないし、今後実用化していくかもしれない。これまでエシュロンでは英語以外の外国語では専門担当者が録り貯められた録音を聴いて内容を確かめる手段をとっていたという。2001年の同時多発テロの際には、そのタイムラグのせいでテロの発生を防げなかったという説があるが、今後そんなプロセスは不要になる。諜報活動などワンタッチになる。

そんなことを考えている間にも、世界中のiOSandroidのエンドユーザーが音声入力を利用して、発音された入力内容の修正をしていく。Googleなどのネット翻訳システムでもしかりである。修正された情報が毎日世界レベルで蓄積されることによって、民間レベルですら情報処理の内容が適正化されていく。しかも、監視対象が自発的にそれを行っているのだ。

情報モニターの自動化というのは、テロを未然に防ぐメリットがあるかもしれない反面で、自動プロセスを稼働させている当事者の知らないところで過剰な監視が行われたり、それによって自動的なGoogle八分のような社会的な排除が行われてしまったときに、巨大なシステムを稼働させているわけではない末端の個人が対応に対して抗弁をし、社会復帰する妨げになりうる。

先日、Youtubeで挑発的な内容の動画で有名なプロレスラー・シバター氏が、自身のアカウントをYoutube運営に凍結された。その頃、いくつかのアカウントでも同様に身に覚えのない凍結が頻発しており、その原因は本人には落ち度がないことから運営側の手違いとみられていた。シバター氏はあちこちに働きかけた結果、アカウントの復活に成功したが、同様の被害にあったユーザーの何人かは救済されないままだった。そして、シバター氏がアカウント凍結の原因を調べていたところ、内容は問題ないのにタイトルの語句が金儲けのスパム動画のようなものを使っていたために、自動的に凍結されたらしいという結論を得たのだった。

なぜか「じゃがりこ爪楊枝野郎」や「イスラム国」の動画が野放し状態のYoutubeは、陰でユーザーを監視する自動プロセスを稼働させていたのである。しかも、それが誤動作していても恣意的に放置して、その結果として罪もないユーザーや動画が毎日のように闇に葬られているのである。

社会における監視システムでも、そのプロセスを人が確認しないと無関係の一般市民が巻き込まれて割を食うような事態が生じうる。そんな社会的影響の大きいシステムが、処理内容の適正さについての十分な検証が追い付かないままで世界中で稼働している。システムが暴走しないこと、それに自分がまきこまれないことを祈るばかりである。

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