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はてなの決心高度

飛行機は初代塗装の日航DC-8が好きです。ちなみに飛行機の話題はゼロです。

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昔はよかった、そう言う前に

ちょっと前に「江戸しぐさ」なるものがマスコミ辺りでしきりに取り上げられた。その後、「江戸しぐさ」の実在に根拠がないということがわかってきた。これまでそれを取り上げてきたり、称賛してきた人たちというのは、存在していなかった習慣を以って、昔の美徳はよかったと思いを馳せていたのである。

昔はよかったと過去を振り返るときに、「江戸しぐさ」以外にも実在自体が怪しい過去を懐かしんで信奉する場面は多い。

例えば、昔は地域社会があって支えあっていたという主張をよく目にする。だが、これはどこの地域社会だろうか。アパート形式の大型団地が出来だして50年以上経ち、新興住宅地も開発されて40年以上経過して今や新興ではなくなりつつある。その種の地域で過ごした世代は子供どころか孫、曾孫の世代までいてもおかしくない。

そのような地域が全国にできている中で、落語やら漫画やらに出てくるような、地域の全員が知り合いで家庭の内情も知っていて、地域で子育てと称して他の家庭の方針に介入をするようなところで育ったり、暮らしたりしている者は少ないものと思われる。今現在暮らしている者も、詮索の気味悪さと介入の窮屈さを感じているかもしれない。

美化している者は、実はそのようなコミュニティで暮らした経験は一切ない可能性すらあるのだ。

そして、現在も地域でそのようなコミュニティがあったとしても、排他性の強い地域かもしれない。その場合、地域で支えあっているからといって、その仲間に自分たちが入れてもらえるとは限らない。地域で支えあっている中で孤立、排他性の矛先や妬み僻みが全て一点集中して自分たちだけ割を食い、他から奪ったり壊して利益を独占することによって地域住民だけが楽しく支えあって暮らす構造かもしれないのである。

この種の話が出てきたときは話に流されず、いつの時代の、どの地域の昔のことだろうかと注意して聞く必要がある。もちろん、その疑問点を話者にぶつけるのもよいことだ。経験のないことを美化しているだけかもしれない。

経験のない体験を美化する傾向は、いわゆる「田舎暮らし」にもある。

一切これまで生活拠点の無かった地方に移住するような者が、地方は人と人との触れ合いがあるとか、自然がいっぱいなどと妄想して移住する。現実には排他的なコミュニティだったり、移動に車が必要で自然と触れる機会が無いか、雪や虫の侵入で厳しい自然と直面する羽目になる。

居住場所を問わない自営業でない限り、就業の機会が無いので経済的にも追い詰められていく。田舎暮らしに憧れて地方に移住する者の中で、経済的基盤や移住の動機が明確でない者は精神面で問題を抱えていることが少なくなく、大抵は現実面に目を背けて一方的な妄想だけで地方に憧れて移住してきて、そして現実に直面してこのまま枯死していくか他の地域に移っていくのだという。

妄想の中で過去を美化して現代を殊更に貶す人物も、大抵、現状に不満があり、そこから逃避したい願望があるのだろう。昔はよかったと、経験してもいないし存在すらも怪しい昔の話を妄信して、現代をことさら否定するのはやめたら。

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